2017年12月23日更新

ロンゲスやレニベース等のACE阻害薬

高血圧の治療に使われる降圧薬にはいろいろな種類がありますが、ロンゲスもレニベースもエースコールもいずれもACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)と呼ばれている降圧薬です。
ACEはアンジオテンシン変換酵素でAmgiotensin Converting Enzymeの略です。
血圧を下げるメカニズムの1つにRAA系と言うものがあります。
レニンーアンジオテンシンーアルドステロン系とも呼ばれます。

血圧を上げろとレニンを分泌し、レニンはアンジオテンシノーゲンをアンジオテンシンIに変えます。
アンジオテンシンIはACEという酵素によってアンジオテンシンIIに変換させています。
アンジオテンシンIIは血管を収縮させて血圧を上げ、副腎からアルドステロンと言うホルモンを出して血圧を上げる作用があります。
そこで、血圧が上がらないようにするために、ACEを阻害してアンジオテンシンIIを作らせないようにしているのがACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)です。

ACE阻害薬の中で、レニベースが1986年に発売され、続いてロンゲスが1991年に発売されました。
そしてエースコールが1994年に発売されています。
ACE阻害薬の全般的な特徴は、血圧を下げるだけではなく、腎臓や心臓を守る作用もあるということが大きいです。
高血圧の状態が続くと、腎臓や心臓を傷めますが、これらの臓器を守りつつ血圧を下げる作用があるので、加齢とともに心臓や腎臓が弱ってくる高齢者にも優しいお薬だと言えます。
また、インスリンの働きを増強させる作用もあるので、糖尿病を合併している高血圧の人にも使いやすいです。
レニベースやロンゲス、エースコール自体は、血糖値を下げる作用は弱く、糖尿病の治療薬ではありませんが、薬を飲むほどではない糖尿病の患者さんには1剤で高血圧の治療と糖尿病の悪化を予防するという2つの効果が期待できるので、有難いお薬です。
そして心臓を保護する作用もあるので、心不全の治療にも保険適応となっています。
心不全を伴った高血圧にも使えます。
また、1日1回の服用で良いという点も、飲み忘れがなくて良いでしょう。
軽症から中等度の高血圧に対する効果の有効率は約72~75%程度、重症高血圧に対する効果の有効率は、約73~91%という報告となっています。

副作用に多い「空咳」は服用中断理由の多くを占める

ACE阻害薬の副作用で最も問題となるのは空咳です。
この空咳がつらくて服用を中断してしまう人が多いのは、困ったことです。

しかし、空咳という副作用を逆手にとってメリットだと考えている医師も少なくありません。
それは、空咳が出るということが誤嚥の予防になるからです。

誤嚥と言うのは食べたものを飲みこむ時に、誤って食道ではなく気管の方へ入ってしまうことです。
誤嚥したものが肺にまで届くと誤嚥性肺炎を引き起こし、高齢者の場合はこれで命を奪われる人が多いです。

ACE阻害薬を飲むと、サブスタンPという物質が増えるために空咳が起きるのですが、誤嚥はサブスタンスPが少ないとおこりやすいので、サブスタンスPが増えるのは誤嚥防止には有難いことなのです。
また、咳は気管に入った異物を追い出すためにおこる現象です。
気管に入り込もうとしている食べ物を咳をすることで食道に正しく送り込むことができます。

空咳が嫌で服用に抵抗を感じていた患者さんやそのご家族も、空咳にはこのようなメリットもあることを説明すると、すんなりと受け入れてくれるケースも多いです。

空咳以外の副作用には、頭痛やふらつき、めまいなどがありますが、いずれも血圧が下がることによって起きる副作用です。
高齢者の場合は、少な目の用量から開始して効果が不十分であれば少しずつ様子を見ながら増やしていくことで、これらの副作用は防ぐことができると考えられています。

また、同じACE阻害薬であるカプトニルでしばしば見られる味覚障害の副作用は、ロンゲスやレニベース、エースコールでは報告はありません。
副作用の多くは、服用を開始して1~2カ月以内におこりやすい傾向があります。
この期間を過ぎれば、次第に慣れてくることが多いです。

血圧を下げる薬を自己判断で止めたり量を減らしたりすると、急に血圧がはね上がることもあります。
降圧薬を減らす場合は、様子を見ながら徐々に減らさなければ思いもよらぬ事態に陥ることもあります。
副作用が気になる場合は、勝手に中止や薬の減量をしないで、医師に相談してください。